30歳3度目の転職~新しい仕事と2020年のゲーム業界展望~

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このブログでは1回目の転職のことしか記録していませんでしたが、2016年に2度目の転職をし、2018年11月に3度目の転職をすることになりました。30歳で4社目です!

これまでのキャリアのほとんどをゲーム業界で過ごしてきて、これからもやや離れますがゲーム業界に近い位置で働きます。

転職に至ったいきさつを、業界の展望を踏まえて記録しておこうと思います。

プレイヤーが存在感を増した2010年代後半

2010年といえばネットワーク化やオンライン化によるゲームデザインの変化が最も取りざたされ、2010年代後半に差し掛かるまでには「World of Tanks」などでその有効性が立証されたプレミアムパスなどのサービス型で収益を得るゲームが増えていきました。プレイヤーが実際にゲームを遊んでからお金を払うモデルが定着化したことで、収益の指標もプレイヤーの生涯課金額(LTV=Life Time Value)が重要視されるようになりました。サービス型商品をより多く販売するためにデータ分析が活用されるようになり、分析結果を有効にゲームに反映できるように、ゲームそのものに課金コンテンツが組み込まれていきました。

一方で、プレイヤー側にも変化があったと個人的には考えています。YoutubeやTwitch、Mixerに代表される動画配信サービスに加えて、TwitterやFacebookのようなSNSの発展によって、プレイヤーが自己主張をし、実際に影響力を持てるようになったのも同時期だと解釈しています。データ分析によってゲームの収益性がリアルタイムに観測できるようになり、プレイヤーが直接ゲームに影響できるようになった一助になっていると思います。

その中で特に影響力を持つようになった一部のプレイヤーが出現し、今ではパブリッシャーがそのプレイヤーを抱え込むことでコミュニティにポジティブな影響をもとうとしています。デベロッパーもパブリッシャーも日々様々なプレイヤーフィードバックを受け、ゲームを改善しようとしていますが、ある事柄について正反対のプレイヤーの意見が存在することは多々あり、どの意見を採用するか判断と説明をするために、影響力のあるプレイヤーを活用するということは日常茶飯事になっています。

このような活動は過去にも宣伝の範囲で、多くはイベントなどでのデモプレイをメインにあったのですが、ゲームのアップデート計画にも影響するようなプレイヤー群が増えたことが以前との大きな違いと思います。

専業化する「ゲームプレイ」

上記のようなゲームへの影響力を持つプレイヤー群が顕著になったことで、ゲームをプレイする目的も多様化したように感じます。よく言われることではありますが、昔からなじまれてきたエンターテイメントとして余暇時間を消費して楽しむプレイの仕方の他に、配信などによる収益化を目的とした、他人に見せるためのゲームプレイの仕方が定着してきました。より難易度の高いゲームや、対戦型のゲームは視聴数がつきやすく、それぞれのゲームジャンルで配信を行い、収益を得るプレイヤーが増えていきました。

ここで日本のパブリッシャー側から見たときによく挙がる論点として、「宣伝として配信を黙認するか」、「ネタバレ防止や権利を守るために配信はNG」という議論があります。RPGなどストーリーが売りのタイトルでは配信がそのままネタバレに繋がるため、色々な意見はありますが最終的に配信NGの判断が下りやすいです。ここではこのような「配信に不向きなゲーム」が存在するということは認め、この類のゲームは配信はせず「従来型の販売と宣伝方法」でビジネスを続けることとして、今回の議論からはスコープアウトしておこうと思います。プレイヤーの影響力が増したことの背景としてデータ分析の活用を述べましたが、ゲームにデータ分析の結果を反映できるゲームジャンルは限られています。少なくとも、一本のストーリーを売りものとしたようなゲームはプレイヤーの反応でエンディングや物語の筋を変更するようなことはないと思うので、ストーリー物のスコープアウトは妥当かなと考えています。

本題に戻して、ゲームプレイを通じて収益を得て、ゲームに対しても影響力を持つようなプレイヤーは、平均的なプレイヤーよりもゲームが上手であることが多いです。つまり、上記でスコープアウトしたストーリー物のようなゲームをプレイするときには気にする必要のなかったプレイヤー間のヒエラルキーが、プレイヤーが影響力をもつゲームでは存在していることになります。実際、プレイヤーが影響力をもつゲームでランキング機能が実装されているものは多く、目に見える形でヒエラルキーが実装されているものもあります。

影響力を持てるようなヒエラルキー上位のプレイヤーになるには、平均的なプレイヤーよりもスキルとプレイ時間が求められます。才能でカバーできるものもありますが、簡単にできるものではないため、結局時間を多く割くようになっていきます。影響力をもつために、プレイヤーとして専業化していく流れが発生します。

進む専業化とプラットフォームとの乖離

ゲームプレイの専業化を進めるサービスや商品も多く市場に出回っています。最も顕著なのが「esports専門学校」のような専業化を支援するサービスの提供です。このほかにもゲーミングチェアや各種アクセサリなど、「プロ仕様ゲーム周辺機器」は専業化を進めるような商品の類と解釈しています。

ここで「専業化」をテーマとしているのは、プレイヤー視点だと当たり前のように感じるのですが、パブリッシャーやプラットフォームの視点からすると、大きな乖離が生まれます。

パブリッシャーや特にプラットフォームは、ゲームを「マス(大衆)に売る商品」として定義しています。特にプラットフォーマーはそのサービスを利用するユーザー数が必要なビジネスなので、大衆化は必然的な命題です。ところが、「専業化」は「大衆化」と正反対のベクトルなので、個人的にはプラットフォームやパブリッシャーがこの専業化の波に乗ろうとするのは矛盾しているように感じます。ゲームのプラットフォームやパブリッシャーではない、第三者が周辺機器や付帯サービスを販売したい場合にしか専業化の文脈は活用できないと思っています。

ところが、ゲームプラットフォームやパブリッシャーは「esports」専用の部門を設立するなどして「専業化」の流れに乗ろうとしています。ここが、自分が3度目の転職に踏み切るきっかけとなった大きな違和感でした。

「専業化」は第三勢力が行うべき

ゲームプラットフォームやパブリッシャーが「専業化」を後押ししたときに、自分が個人的に抱いている矛盾を説明します。簡単にいうと「不公平になる」です。ゲームを販売する主体となる者が、ヒエラルキーの上位層を後押しし、ここに対して支援を行う構造は、平均的なプレイヤーから見ると不公平に感じると思います。また、まだ大きな論点にはなっていませんが、賄賂に近い構造にもなりえると考えており、コンプライアンス上の問題も生じるのではないかと危惧しています。

隠そうと思えば、Vtuberのような「仮想人物」を設けることで特定プレイヤー層に偏った見え方は避けることができますが、実際に今Vtuber向けにプロプレイヤーの動画が売買される市場が存在することを考えると、すでに隠せていないコンプライアンス上のリスクがある活動になっているかと思います。

このような不公平感、コンプライアンスリスクを避けるために、一部のパブリッシャーは外部会社に「専業化」部分を委託し、本業とは切り離しています。このような形が主流になると思います。

今後のゲーム業界に影響力をもつには

「プレイヤーの専業化」が進むことでプレイヤーがよりゲームに影響力をもつことになるということは、プレイヤーがゲーム業界全体に影響力をもてるようになるということでもあると、個人的には拡大して解釈しています。

事実、プレイヤーの影響力を考えないパブリッシャーやプラットフォームは存在感を失っており、プレイヤーが主張できるプラットフォームの存在感が日に日に強くなっています。

この状況を所与としたときに、引き続きゲーム業界で影響力を持つ形で働き続けるには、「専業化」の流れを汲む企業で活動をしなければならないと考えました。それは、従来のゲームパブリッシャーやプラットフォームではなく、直接ゲームを開発したり販売しない企業が該当します。その中でも、歴史的に業界に存在感があり、プレイヤーの支持を得ている企業があり、そのような企業こそが、向こう2~3年の業界において重要な役割を担うのではないかと考えています。

さらに、そのような企業に在籍するだけでなく、今まで以上にプレイヤーに接し、自分もプレイヤーであり続けないと、2020年だけでなく、その後においても影響力のある形で活躍ができないのではないか、と思い、今回3度目の転職を決意したともに、ゲームをやり続けないとなあと思いました。

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